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2015年8月

小野寺の弟、小野寺の姉

藝と褻は似ている

前者はゲイジュツの“

後者はハレ(晴れ)と対照されることの多い“ケ(褻)

ケは日常生活、普段着などを意味します

芸術というと、どちらかといえば日常ではなく

ショウビジネスといった華やかなイメージですが

漢字は良く似ていて不思議 cat

詩人の吉野さんによれば

「藝」は農作業の技術、「褻」は農作業衣を意味するそうです

pen 吉野 弘全詩集,「藝」「褻」考 青土社,2014

技術には機械やソフトといったTechnologyの意味もありますが

日本で最初に「技術」という訳語が充てられた単語は“Art”だそう。

pen 山部恵造・山部美登里 「フランス百科全書と技術学」けやき出版,2009年

つまり技術は元々、芸術家の技術に代表されるような「特定の人間に固有の技術」だったのですが

特定の人だけでなく社会の多くの人々に技術知識を伝達できたら便利だな~ということで

特定の人間に固有の技術を,なんとか文書や機械の形にしてみよう、つまりTechnology化しようという動きが出てきたようです

時代が進むにつれてこうしたTechnology化はより行いやすくなっていきましたが、

こうした現代ではむしろ芸術家や農作業の技術、つまり人間の手から切り離されていない元祖技術、Artを大事にしないといけないかも。

こうした元祖技術はハレというよりケ(褻)に根差した技術といえるかもしれません

映画「小野寺の弟・小野寺の姉」を見たら,

本当の芸術は褻(ケ)の中にある

という気がしてきます

Lunch_2

小野寺進(左)は調香師。眼鏡屋の姉のより子とともに古い一軒家で慎ましく暮らしている。

炊き立てのお米、柔軟剤、絵の具

穏やかな暮らしの香りが漂う本作は

今年度のkisara賞(邦画部門)第一位bell

Humikiri

(今創設しました)

辛いことも多いけど

大事のない日々を過ごすことができる幸福

結末もそこに至るプロセスも

両方楽しめる、稀有な映画でした bud

Back

片桐はいりが好きなだけで借りてみたけど

上質な残り香の薫る、すばらしい映画でした

ちなみに褻(ケ)という漢字には

身近にいておろそかにする、という意味もあるそう

主人公の進はいつも近くにいるお姉さんに辛くあたることもあるけど

映画が進むにつれて少しずつ、

本当に大事なことに気づいていく

同時に、観ている側にもさりげなく

多くの気づきを与えてくれる

晴れと褻

幸せと悲しみ

それぞれが独立的に存在することはできない

辛いことがないと、幸せは存在できないようです

明日も頑張ろうcatbeer

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